経営者の相談を受けていると、
ときどき不思議な瞬間に立ち会います。
話している内容は、
売上でも、組織でも、制度でもない。
それなのに、
その社長の表情が、ふっと緩む瞬間があります。
「これ、誰かに話すような話じゃないと思ってたんですよね」
そう言われることが、少なくありません。
この記事では、
社長がひとりで考え続けるのをやめたときに、何が起きているのか
その場面を、少しだけ切り取ってみたいと思います。
社長は、ひとりで考える時間が多すぎる
社長という立場は、
自由である一方、とても孤独です。
決める自由があり、
決めなくていい人はいません。
会議では、
意見を求められ、
最終的には判断を任される。
それが日常になると、
「考えること」そのものが、仕事になります。
気がつけば、
- 通勤中も
- 風呂に入りながらも
- 寝る前も
ずっと頭のどこかで、
考え事が回り続けている。
でも、その思考は前に進んでいないことが多い
ここで少し、立ち止まって考えてみてください。
考えている時間が長いからといって、
整理が進んでいるとは限りません。
むしろ、
- 同じ論点を何度も行き来する
- 過去の判断を思い出しては引っかかる
- 先の不安と、今の現実を往復する
こうした状態は、
考えているようで、実は同じ場所を回っていることが多い。
本人は真剣です。
サボっているわけでもありません。
ただ、
「ひとりで考える」ことに、
限界が来ているだけです。
話した瞬間に、問題の形が変わることがある
テーマは、
新しい事業を進めるかどうか。
資料も揃っていて、
数字も把握していて、
リスクも分かっている。
それでも、
なぜか決めきれない。
しばらく話を聞いていると、
社長がぽつりと言いました。
「これ、事業の話じゃない気がしてきました」
そこから出てきたのは、
- 自分の年齢のこと
- 次の世代への引き継ぎ
- ここまで頑張ってきた意味
どれも、
会議の議題には載らない話です。
でも、
そこに触れた瞬間、
事業の判断が急に現実味を帯びました。
「誰かに話す」ことで、考えなくてよくなることがある
この社長が後で言っていた言葉があります。
「答えをもらった感じはしないんです。でも、楽になりました」
これは、とても象徴的です。
多くの社長は、
アドバイスや解決策を求めているようで、
本当は違います。
求めているのは、
- 話してもいい空間
- 途中で止まっても許される時間
- まとめなくていい会話
つまり、
整理される前の状態を、そのまま出せる場です。
それがあるだけで、
思考は自然と落ち着き始めます。
まとめ
社長がひとりで考え続けているとき、
問題が難しいとは限りません。
ただ、
- 出せていない話がある
- 整理されていない感覚がある
- 誰にも置いていない問いがある
それだけのことも多い。
話すことで、
答えが出るわけではありません。
でも、
考え続けなくてよくなる瞬間は、確実に訪れます。
それだけで、
次の判断は、ずいぶん軽くなります。

